5月26日以降、GSTの下落が止まらず、特にBNBチェーン側(通称B国)ではバブル崩壊とも言える暴落になっており、ユーザーに動揺が広がっています。
さらにB国バブル崩壊はSolanaチェーン側(通称S国)にも影響を与え、STEPN全体の相場が下落することになりました。
今回の暴落は何がきっかけで引き起こされたのか?
STEPNの立て直しには何が必要になるのか?
これらについて、SNSの煽りに惑わされない、データに基づいた分析・考察を行っていきます。

当サイトの運営母体であるLGGは毎週水曜日にSTEPN経済圏レポートを発行しています。
本内容は6/1発行のレポートの内容をまとめたものです。
全体概要~5月26日以降のSTEPN相場~
突如として起こったSTEPN相場の下落ですが、遡ると5月26日に下落トレンドが始まっています。
この日を境に、B国での靴の売りが始まり、S国・B国ともにGSTの価格も下がっていきました。(下図参照)
また、この状況下で、新たに中国ユーザーへの規制がアナウンスされたことも重なり、非常に多くの靴が市場に売られ、靴のフロア価格も下がっていきました。(下図参照)
※ベンチマーク靴とは、「Jogger/Common/Mint数2以上」というSTEPNで最も一般的に流通している靴のことをこのように定義しています。
その後、運営による緊急のAMAが26日と30日に開催されたりしていますが、31日時点、依然として靴の出品数は多く出されている状態であり、経済圏のトレンドは悪化し続けています。
現状の優先課題は、消費と利確のバランスを解決し、STEPNの経済圏を安定した状況にすることです。



これについてはここから詳しく解説していきますね!
現状はS国・B国ともに、靴の出品が相次いでおり、靴のフロア価格も下がっています。
運営は、「現在の価格低下は、FUD(不安・疑念・不信|Fear/Uncertainty/Doubt)が原因だ」と認識しており、28日に内部のデータを公開しながら、「通常通り安定している」とツイートしています。
しかし、このまま新規ユーザーや、既存ユーザーが安くなった靴を買っていかなければ、STEPNの崩壊は免れません。
このタイミングで鍵になるのは、ユーザー心理が利確よりも消費を優先するのか?という点です。どれだけ経済圏の設計が優れていても、ユーザー心理が利確に強く向かってしまうと、持ち直すのが困難になります。



どれだけMint数が数字上安定していようが、一度FUDを抱いてしまった人間の集団心理の影響は大きな影響を与えます。
売りたい、と思う人が多ければ多いほど、需要と供給の関係で価格は下がります。
B国バブルの始まりと崩壊について
B国バブルの始まりのきっかけは?



B国バブルの始まりは4月に行われたアシックスとのコラボです!
これはB国開始に際して行われたB国限定のコラボイベントでした。
アシックスコラボのスニーカーが、非常に安くエアドロップされたにもかかわらず、10BNB(当時の価格で約50万円)で売られたことで、B国のミントの動機に火がつきました。
当初は、ホワイトペーパーにGSTをブリッジをするという表記がありましたが、ブリッジがされないことがわかり、bGSTの価格は上がり続け、バブルの様相を作ってしまいました。
加えて、bGSTの価格が上がり、GMTの価格が下がっていたことで、ミントコストが少ない状態で、非常に高い収益性が出ていたため、ミントがミントを呼ぶ構造になりました。
ただ、靴の価格が高価格帯を推移してしまった(最盛期はcommon靴でさえ1足数十万円以上かかりました。)ため、ほとんどの新規ユーザーは靴を買うことができず、ミント工場の再投資または大口の新規参入でしか回らない状態になりました。



この時点でバブルがいつ弾けてもおかしくない状態だったと言えます。
しばらくはS国ユーザーの買い支えがありましたが、やはり限界がありました。
B国バブルの終焉
B国のバブルが弾けたのは、新規流入が鈍り、利確のために靴の投げ売りが始まったことが理由です。
B国の騰落差が激しかった分、大きな損失を被った人も多く、SOL側でも靴を売って撤退する、という流れも出てきています。
GSTの新規ホルダー数の増加数を見ると、依然として、新規ユーザーはS国に入ってきていると考えられるものの、その増加数は安定していません。(下図)
B国の靴のフロア価格は、1.5BNB付近(約6万円、5/31時点)まで下がってきていますが、理論上はSOLと同じフロア価格(約3.6万円)まで下がる可能性があります。
ただ人間心理は単純ではなく、何かしらのイベントなどがないまま、FUDが続くと、B国のフロア価格やbGSTは、S国のそれを下回る可能性もあります。
B国バブル崩壊がS国に与えた影響



B国のバブル崩壊を受けて、S国も靴の価格、sGSTの価格が下がってきています。
独立した経済圏とはいえ、両者は切っても切れない関係にあるのです。



S国・B国の関係性を考えながらS国経済圏についても分析していきます。
SOL靴の需要の1つに、「B国ユーザーのエナジー増加用ニーズ」というものがあります。エナジーはチェーン間でシェアされているので、エナジー用の靴がS国で揃っていれば、B国で1足でもあれば多くのbGSTを稼ぐことが可能なためです。
ただ、B国で下落が続くと、この靴需要が消失するため、S国の靴の買い圧も減少します。
また、B国から撤退したユーザーがエナジー用に保有していたSOL靴を手放す際の売り圧もかかったため、S国の価格も下がっていきました(下図参照)。
ミントによる靴の生産と、新規ユーザーの靴の購入が行われなければ、経済圏は回っていきません。
ただし、靴の価格が下がる事自体は、所得水準の低い国のユーザにとって、良いことですので、靴が新たに買われる可能性もあります。



靴価格の下落は必ずしも悪いことばかりではない、ということは認識しておいてもいいですね!
STEPN立て直しに必要なこと
経済圏の構成要素



経済圏を考えるとき、以下の方程式を考えると分かりやすくなります。
経済圏=1:新規流入(買い圧)✖️2:利確と消費のバランス(パーセンテージ)✖️3:ミント数(供給数)
運営がAMAで話した『全く同じ仕組みなのに、1週間前と今週では、全く違う結果になっている。これはFUDが原因である』という点は、2番の利確と消費のバランスが一気に逆転してしまったことを意味しています。



上手く消費に向いていた経済圏内の動きが、一気に売却に向いてしまいました。
これまでは獲得したGSTを、Lv上げや靴の保持数を増やすためや特化靴を作るために消費するといった具合に、ユーザーがゲーム攻略を進めたくなる好循環が回っていました。
しかしB国のミントバブルの崩壊により、ユーザーの多くが損失を抱えたことで、ユーザー心理が全く逆に向かいました。そして多くのユーザーが、ゲーム攻略を止め、利確に向かったことで、一気に逆のサイクルに入りました。



損失を最小限に食い止めるため、我先にと靴売却とbGSTの利確に走ったわけですね。
利確に向い、靴の売りが多ければ多いほど、新規の買い手も追いつかなく、靴の価格も下がり、ミント自体がされなくなることで、GSTも下がり続けてしまうからです。
ベースの靴の供給数・ユーザー数が多ければ多いほど、これまで以上の新規の流入=買い圧が必要となります。
今後は抜本的にユーザー心理を消費に向かわせる強い施策と、ユーザーとの細やかなコミュニケーションが必要であると考えています。
このまま悪いサイクルが続くと、過去のGameFiモデルのように、NFT価値が無価値に近づいていきます。
GMTアーニングが切り札となり得る?
ユーザーが、ゲームを楽しく進めたくなる施策の1つとして、「GMTアーニングの実装を強めに行う」というのがあります。
GMTの価格自体が下がっている状況ではありますが、GMTアーニングは、Lv30のコンフォート値が高い靴が必要です。



つまり、靴を育て、エナジー量を増やすためのGST消費に繋がる施策と言えるわけです!
GMTアーニングが「大きく稼げる」状態を作りだす事で、ユーザー心理が消費に向かう可能性はあります。
GSTからGMTに売り圧は移行しますが、ユーザー心理が消費に向かった後に、GMT排出量を徐々に絞ることで、売り圧を抑制し、経済圏の健全化を図る形です。
消費と利確の割合が変化しない限り、ユーザー数、靴の総数が多い状況で、1番の新規流入と3番の靴の供給量の施策をいくら打っても、現況を打開する展開にはなりにくいため、GMTバーニングは効果的と言えます。
他のやり方は?



経済圏回復のための他の施策もなくはないですが、効果には疑問が残ります。
運営による靴バーンにより、経済圏に流通する靴を必然的に減らせば、需要と供給でプラスに働く、と考えることもできなくはありませんが、ポジティブな未来設計が消費に繋がる方が、ユーザー全体の心理が変わりやすい気がしています。
また、利益目的・投資目的のユーザーが経済圏から退出し、現段階の靴を運営がバーンして、経済圏自体を小さくしてから再スタートするということも考えられます。
しかしこれも、一度縮んだ状況から再度、新規ユーザーからの信用を獲得していくハードルが高くなるため、難易度は高いと考えています。
STEPNモデルは何が素晴らしかったか?
STEPNの消費モデルは、ユーティリティーの数(縦)と、エンドゲームまでの長さ(横)の掛け合わせによる面積が大きく、消費に必然性があるのが特徴です。(下図参照)


過去のAxie Infinityのようなモデルは、この消費面積や必然性に乏しいものでしたが、STEPNはこれを進化させ、GSTとGMTの2つのユーティリティトークンを行き来させながら、インフレを秀逸にコントロールしてきました。
しかし、消費と利確の心理がとても繊細で、振れ幅が両極端であるという点が、トケノミクス自体の設計以上に大きな影響を与えており、秀逸なベース設計があっても、1週間で全く違う様相になっています。



繰り返しではありますが、現段階では、ユーザー心理を強く変える大きな施策が必要である状況であることは間違いありません。
まとめ
今後のSTEPN経済圏にとって必要なことは、利確に向いてるユーザー心理をいかにして消費に向かわせるか?というものであり、その観点からSTEPN経済圏の立て直しを考察しました。
B国でバブルが弾けたことで、ユーザーの多くがsGST・bGSTを利確し、B国・S国ともに下落の状態が続いています。
ここから特に注目すべき点は次の3点です。
1.ユーザー心理が消費に向かう施策を運営が打てるのか?
2.安くなった靴がユーザーにきちんと買われていくのか?
3.抑制している新規ユーザーの流入がどの程度まで解放されるのか?
これにより、今週中に反映されるアップデートの内容や、今後予定されている複数realmによる経済圏の実現、DEX機能による外貨獲得も機能していきます。
現在のSTEPNは大きな分岐点にいます。ここでSTEPNの未来を信じて、GSTの消費を続けるユーザーが多くなっていくこと、運営がユーザーに消費行動を促していくことで、STEPNの経済圏は回復していくことができます。



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