"NFTゲームを遊んで稼ぐ"のガイドブック

ラグプル”Rug Pull”とは?見分け方と対策|詐欺注意

【タイトル】ラグプルとは
この記事でわかること
  • ラグプル”Rug Pull”とは?
  • ラグプルを起こしたGameFi事例の紹介
  • 騙されないために必要なこと
  • ラグプル案件の見抜き方

わ、なんだこれ!!
暗号資産は暴落してるし、Discordは繋がらないし…一体何が起こってるの?

あー、これはラグったかもですね。

ajihuraiプロフィール
・ブロックチェーンゲーム「JobTribes」にて世界大会2連覇
・NFTゲームでの総獲得賞金3,500万円以上
・世界トップレベルのゲーマーが所属するLGGの中でも腕はピカイチ
・NFTゲームの第一人者としてYouTubeにも出演
BSテレ東の番組にも出演
・NFTゲームを攻略した男として日刊ゲンダイで特集

ラグった…?

残念ながら、そのゲームは詐欺だったということです。

近年急激に広がってきた暗号資産・NFTゲームですが、その影では資産を失っている人が多くいるのも事実です。

その中でも最近、ラグプル”Rug Pull”と呼ばれる、運営による資金の持ち逃げが多発しています。

ラグプルは悪質でありながら、見極めは非常に難しいです。

GameFi黎明期である今は、質の悪いプロジェクト(ゲーム)が精査されずに資金集めをできてしまう時期でもあります。

そこでこの記事では、GameFiを中心としたラグプル案件の見分け方や対策を事例付きで解説します。

ラグプル”Rug pull”とは?

ラグプル”Rug Pull”とは、”pulling the rug out(絨毯を引き抜く)”を語源とする言葉で、暗号資産・DeFi(分散型金融)・NFTゲーム等で使われる用語です。

ラグプルを簡単に言うと、ユーザーから集めたお金を運営が持ち逃げしてしまうことです。

ラグプルは以下のような流れで起こります。

◯暗号資産
開発者が誇大広告等により暗号資産の価格を釣り上げたところで、一気に売って利益を得る
◯DeFi
運営が流動性プール(売買しやすくするように、本来預けておくべき資金)から暗号資産を持ち逃げする
◯NFTゲーム
運営がユーザーにNFTを売った後プロジェクトを放棄し、NFT販売益を持ち逃げする

恐ろしき暗号資産の世界…
でもこんなひどいことして、詐欺罪で逮捕されないの?

最も動きが速いアメリカでも、法案修正要求までしか行われていないのが現状です。

このように、様々な理由によりユーザーが裏切られ、運営がいなくなってしまうことを「ラグられる」と呼んでいます。

なぜ簡単に騙されてしまうのか?

このようなヒドい話を聞くと、「何でこんな怪しいものに引っ掛かっているの?」と思うかも知れません。

しかし、運営のプレゼン資料を見ると非常に魅力的なことが書かれており、素人からするとどれが本物なのかの判断がつきにくいです。

特にGameFiは黎明期であり、市場が過度な期待を持っている印象も否めません。

現状GameFiはFinanceの要素が強く、面白い(Game要素)よりも稼げそう(Finance要素)を基準としてゲームを始めるケースが多いです。

また、ユーザーが稼げるゲームを求めているがために、開発/運営側も稼げそうなゲームを発表すれば、資金を集めやすい側面もあります。

確かに第一印象が良いと、巨大なリターンを期待して投資したくなる…

騙されないための3つの鉄則とは?

それでは、ラグプルを起こすような案件に騙されないためには、一体どうすれば良いのでしょうか?

その答えはズバリ、①全てを疑う②一次情報を自分で調べ、納得してから始める③欲を出さないの3つに限ります。

騙されない鉄則①:全てを疑う

これは一見簡単なようで、実は難しいです。

と言うのも、人は一見魅力的に映るモノに対しては肯定的に捉えがちです。

例えば以下のような投稿があったとした時、皆さんはどう思うでしょうか。

フォロワー数:1万人以上
プロフィール:ゲームで月1,000万円単位で稼いでいる
投稿内容:月利100%が出る!
いいね数:500以上

落ち着いて客観的に見ると怪しさ満点ですが、ゲームのグラフィックがとても綺麗だったりすると、途端に魅力的に見えてしまいますよね。

確かに…

そこで考えるべきは「何でそのようなことが可能なのか?」です。

先ほどの例で言うと、「なぜ月利100%も稼げるのか?」「暗号資産の価格が維持される前提になっているが、本当に価格を維持できるのか?」といった観点で考えます。

なるほど、でもパッと出てこないな。

そうなんです。
疑いの観点を持つには練習が必要なので、できるだけ普段から考えるようにしましょう。

日常生活で取り入れるなら、ネットの広告やテレビCMでPRしている効果は本当なのかを調べたりしてみましょう。

もちろん、時にはホワイトペーパー(事業計画書)に書かれた事も疑ってかかることが必要です。

ホワイトペーパーは本来、企業が解決すべき課題と要因を分析し、解決を実現する自社ソリューションを紹介する資料です。

しかし、マーケティング活動の一環としてホワイトペーパーが書かれている可能性も考える必要があります。

「何でこのようなことが可能なのか」を常に考える必要がある…と。
純粋な人ほど気をつけないとね。。

騙されない鉄則②:一次情報を自分で調べ、納得してから始める

あぁ、これも当てはまるかも。

これはかなり典型的なダメな例です。

インフルエンサー/友達が始めたから、自分も始めると言う人が最も危険です。

彼らをきっかけにゲームを知って自分で調べた結果、納得して始めるのであればOKです。

それじゃあ、Google先生に聞くようにすればOKだよね?

いえ、そうでもないんです。

Google検索でよく見るのは、ブログで必要な情報が体系的にまとめられた記事が多いです。

この理由は、検索上位にある記事はGoogleの理念に沿って書かれており、調べる人が欲する情報を適切な情報量で提供しています。

しかし、そのような記事を書くには非常に時間がかかる上に筆者の主観も多くなりがちです。

なので、DiscordやTwitterで公式から発信される一次情報を取りに行くことが大事になってきます。

公式の一次情報を取って、自分で納得できたら始めるべきってことね!

多くのゲームは海外製であり、英語でのコミュニケーションが基本です。
英語が苦手な人はDeepL翻訳を駆使して情報を得るようにしましょう。

騙されない鉄則③:欲を出さない

先ほど、ラグプルはFinance(稼げるかどうか)の要素が強い心理を悪用しているケースがあるとお伝えしました。

「稼げそうだからゲームを始める」のような動機でGameFiに触れている初心者は特に注意してください。

「どうせゲームするなら、儲けたい!」と言う気持ちも分かりますが、欲を出すとモノを俯瞰的に見られなくなってしまいます。

結果として判断を誤り、莫大な損失を抱えてしまった…といった例が山のようにあります。

Tweetでの爆益報告の裏には、損失を出す多くの人もいる点は認識しないとね(泣)

最近話題になったGameFiのラグプル事例

ラグプルについて分かったところで、最近話題となったGameFiで起こった事例を紹介します。

もう十分怖さは分かったから、これ以上見たくないけど、今後の勉強のためにもしっかり勉強します!

ラグプル事例①:Dragoma

Dragomaは歩くことでドラゴンを強化し、育てたドラゴンで対人戦を行う構想のゲームです。

動いて稼ぐ(Move & Earn)はSTEPNの成功を皮切りに、次々と新しいゲームがリリースされており、Dragomaもその1つでした。

実際、Dragomaで扱う暗号資産(DMA)は上場後に30円から230円まで約8倍に高騰しており、今後が期待されていました。

しかし、8/8にメキシコに拠点を置くMEXC取引所にDMAが上場した際に99%以上暴落し、約0.2円※となりました。

※現在MEXCでのDMA取引は停止されています

99%以上が暴落!
ひえー!!

その後、2億円相当の暗号資産が1つのアドレスに集められたとの報告がされています。
創設者のアカウントに送られたのでは?と噂されています。

典型的なラグプルって感じだね。

このように、暗号資産の取引自体は誰でも見られるので、大量の入出金があればアドレスから推測できます。
(ただし、誰のアドレスなのかは分かりません)

ラグプル事例②:MetaBotz

MetaBotzはいわゆる放置系のゲームで、購入したNFTがゲーム内で自動で動き、暗号資産を稼げる仕組みです。

このゲームもTwitterで急激に話題になったものの、上記のTweetのような経緯でゲームが終了してしまいました。

ゲームリリースは2022年6月27日だったので、わずか1ヶ月と言う超短命のゲームとして名を残しました。

通常であれば1ヶ月でようやくゲームについての理解が深まるタイミングなので、ゲームを楽しみたかった人にとっては残念としか言いようがありません。

んー、各種SNSが閉鎖になる前から不穏な動きはあったように感じるね。

ラグプル事例③:MinesConquest

https://twitter.com/Laby_cubes/status/1554406034214510594?s=20&t=E33hIGJCI_wcJEWfutwaXQ

最後に紹介するのは、MinesConquestです。

MinesConquestもMetaBotzと同じ放置系ゲームの1つで、購入したNFTが自動で対戦を行い暗号資産を稼げる仕組みです。

このゲームも、いきなり上記のような暗号資産の暴落が起こったのではなく、メンテナンスでNFTが売買できなくなったり、運営との連絡がスムーズでなかったりもしました。

これも放置系なのかー!
よくよく考えれば、楽して稼げるっていう詐欺に似てる気もしてきた。

ゲームが長続きするかは運営の手腕とゲームの設計次第であり、「放置系=絶対にダメ」では無いことは、補足しておきます。

【必見】ラグプルの具体的な見抜き方と対策

では、どうすればラグプル案件を見抜くことができるのでしょうか。

「これをすれば絶対に大丈夫」というものはありませんが、最低限以下に説明する項目はチェックするようにしましょう。

ここは絶対に気合を入れて読まないとダメだね!

見抜き方①:運営の信憑性

まずは、創設者を含む運営コアメンバーの素性や経歴を調べましょう

暗号資産の分野では「顔出し=信頼」ではありませんが、匿名チームであれば特に詳しく調べることをオススメします。

匿名+実績がないチームは、ゲームを始めるにはリスクが大きすぎるサインです。

運営者の情報は公式HPやホワイトペーパーに記載されるのが一般的です。

これまでどのような組織・サービスを立ち上げたのかを中心に確認するのが良いでしょう。

単に◯◯大学を卒業みたいな書き方だと、ちょっと心配かな。

運営の信憑性を測る別の物差しとして、大手VC(ベンチャーキャピタル)からの出資があるかも重要です。

大手VCからの出資があるということは、超優秀な人材が討議した結果、将来性・実績が見込めると判断したと捉えることができます。

悪い例として、MetaBotzのホワイトペーパーを見てみましょう。

んー、優秀そうに見えるけど実績が書いてない…
VCからの出資についても見当たらないなー…

良い例として、シンガポールに拠点を置くDigital Entertainment Assets社が手がけるPlayMiningのホワイトペーパーを見てみましょう。

出典:https://playmining.gitbook.io/howaitopp/pton

創業者は吉田直人さんで、これまで人材事業・コンテンツ事業・メディア アドテク事業で計3社の上場企業を設立した経験を持っています。

他のメンバーも有名企業で働いていた経験を持っていたり、コンテンツ制作に精通しているメンバーが揃っています。

また、パートナーを見てみるとJAFCO AsiaSPARTANといった有名VCが名を連ねています。

スタートアップが成功するには人材や資本が大事って聞いたことあるけど、まさにその通りだね!

見抜き方②:トークノミクス・ゲーム設計の強靭さ

続いてはトークノミクス(ゲーム内での経済圏)やゲームの設計を見ます。

これらの設計が悪いゲームは、新規ユーザーの興味を惹き、暗号資産の価格を短期で上げるためにリターンを大きくしがちです。

いわゆる「嵌め込み系」になりやすいゲームです。

これまで健全に発展してきたものの代表的である株・債権・不動産の平均利回りが5%程度だと考えると、月利100%は明らかに高すぎます。

トークノミクス・ゲームの設計が良いというのは、具体的にどう言うこと?

簡単に言うと、ユーザーが稼いだ暗号資産を、ユーザーの負担となり過ぎない程度に自然に消費させる設計がなされているかです。

この設計が上手だったのが、STEPNです。

STEPNは歩くことでGSTという暗号資産を稼ぐことができ、GSTを消費することでスニーカーNFTのレベルを上げ、1日に稼げるGSTの量が増える設計になっていました。

確かにSTEPNは稼いですぐ利確するよりは、もうちょっとレベル上げたいなって思うよね。

将来への期待からレベルを上げたくなるような項目が、ホワイトペーパーのロードマップにも具体的に書かれていました。

出典:https://stepn.com/litePaper

また、本来ホワイトペーパーには「どのような方法でユーザーが暗号資産を稼ぎ、消費するのか」といった情報が具体的に書かれているべきです。

しかし、中には曖昧な記述しかない場合があります。

この場合はマーケティング(お金集め)用に書いた、中身のないホワイトペーパーである可能性があります。

見抜き方③:トークン配分が運営に有利でないか

3つ目の見抜き方は、トークン(暗号資産)の配分が運営に有利になり過ぎていないかを確認します。

もう少し具体的には、以下に当てはまるかをチェックします。

  • 運営チームの持分が多い
  • ロックアップ期間(売却可能になるまでの期間)が短い

これらに当てはまると、運営がいつでも逃げる準備は万端であることを意味します。

◯運営チームの持分が多い

運営チームのトークン持分が多すぎると、多くのユーザーが集まることでコツコツと上がってきた価格を一気に崩してしまう危険性があります。

まさにナイアガラ状態!

運営チームの持分が多いということは、我々ユーザーが買うことができるトークン量が絞られることと同義です。

すると、少量のトークンを多くのユーザーが奪い合う状況になり、トークン価格が急上昇します。

このような状況を外側から見ると、あたかもゲームの将来性が期待されているかのような印象を受け、外部から新規ユーザーが流れ込み、更にトークン価格が上昇します。

こうなったら、売るタイミングを待つ運営側はウハウハです。
十分価格が上がったところで一気に売りを浴びせ、トークン価格がほぼ0になってしまいます。

怖っ!

トークン配布のバランスが取れていると、より値動きが安定する傾向にあるため、ユーザーも安心して長期でゲームを遊ぶことができます。

トークン配布状況・トークンホルダーの数は、Etherscanなどのツールを使用することで確認できます。

これまで良い例として挙げてきた、STEPNのトークン配布はバランスが取れていると言えます。

https://stepn.com/litePaper

◯ロックアップ期間が短い

通常、運営チームやプロジェクトの初期支援者には3〜5年のロックアップ期間が設けられています。

この理由は、企業は長い時間をかけて成長していくものであり、短期での儲けは無視できるほど小さくなるであろうという期待があるからです。

ロックアップは運営や初期支援者がすぐに売るつもりはないという意思表示でもあります。
なので、我々ユーザーが安心して遊べるかの指標にもなります。

逆にロックアップ期間がない(短い)場合は、運営チームや初期投資家はプロジェクトの長期ビジョンに興味がなく、短期間の利益を重視している可能性があります。

良い例として、STEPNのガバナンストークン(所有者が運営の投票権を持てるトークン)であるGMTのロックアップ状況を見てみましょう。

https://stepn.com/litePaper

運営チームやVCのロックアップは、経済圏を壊さないように2023年2月からゆっくりと外れていきます。

運営チームは全てのロックが外れるのに2027年2月までかかるので、5年かかる計算になります。

5年あれば、我々ユーザーも安心してゲームを楽しめますよね。

悪い例として、MetaBotzのホワイトペーパーを見てみましょう。

ん?どこにもロックアップの情報が書かれてない…

そうなんです。
ロックアップ情報の記載がなければ、ロックはかかっていないと考えた方が良さそうです。

見抜き方④:マーケティング手法の怪しさ

最近のトレンドとして、初期のマーケティングはインフルエンサーにDM(ダイレクトメール)でNFTをばら撒き、ギブアウェイ企画を乱発するケースが多い印象です。

この手法自体はプロジェクトを素早く認知させるには適しており、悪くありません。

しかし、中には怪しいDMが来たりします。

怪しいDMには「NFTを破格でお渡しします」「このプロジェクトには将来性が約束されている」「早くしないと売り切れる」といった文章が多い傾向にあります。

また、「日本人ばかりが声をかけられている」プロジェクトにも注意が必要です。

日本は相対的に貧しい国になりつつありますが、新卒でも20万円を稼げる国であり、詐欺にあった経験も少ないので狙われやすいです。

ラグプルの見分け方と対策まとめ

この記事では、GameFi関連を中心に運営による資金の持ち逃げである「ラグプル」について解説しました。

ラグプル案件に引っかからないように、以下の点に注意しましょう。

騙されないための3か条
①全てを疑う
②一次情報を自分で調べ、納得してから始める
③欲を出さない

また、ラグプル案件を見抜くには、以下の点を重点的に調査しましょう。

最低限チェックすべき4項目
①運営の信憑性
②トークノミクス・ゲーム設計の強靭さ
③トークン配分が運営に有利すぎないか
④マーケティング手法の怪しさ

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